空の神衣
 肩で息をつくルイを見ながら、蒼馬も太刀風も溜め息をつく。

「…あのさあ」

『…なんじゃな』

「オレ達はあいつに呼ばれてここに来た」

『まず、間違いないじゃろう』

「じゃあ、なんであいつは砂漠にいるんだ」

 領域に引き寄せられた蒼馬と違い、その領域を展開したルイは自力で砂漠まで来なくてはならない。

 ルイが何のために、またどうやって砂漠に来たのか。

 蒼馬に分からないものが、太刀風に分かるわけがない。

『それもそうじゃが、あの風体は何のつもりなのじゃろうな』

 そう。

 ルイは、どこかの戦隊かというようなジャケットを着ている。

「気分の問題、だろ」

 蒼馬は知っている。

 ルイは筋金入りの特撮ファンなのだ。

「演出のためだけに、ルイはあの自作した服を着て砂漠に来たんだ」

 舞台が砂漠である理由が何なのかは、蒼馬にも分からない。

 ただ、ルイは彼方から駆け寄るシーンがやりたかったのだろう。

 それだけは分かった。
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