空の神衣
 演出したかったのは分かった。

 だが、舞台に砂漠を選んだ理由は謎だ。

「聞きたいのは、私の方だよ」

 ようやく息が入ったルイは、不思議そうな顔で蒼馬を見る。

「私は、そ~まが砂漠に呼びつけたんだと思ってたよ」

 意外な答えだった。

「オレだって、気づいたらここにいたんだ。ルイが呼んだんじゃないんなら、一体…」

「危ないっ!」

 考えこんだところを、蒼馬は力任せに突き飛ばされて倒れる。

「なっ…何だ?」

 起き上がってみると、ルイの姿がない。

「ルイ?」

『主よ、上じゃ!』

 太刀風の声に見上げると、上空に人影が見てとれた。

 落下してくる人影は、さっきまで眼前にいたルイだった。

 ドシャアッ

 ルイは砂の上で大きくバウンドする。

「っぐうぅっ!」

 激痛に表情が歪む。
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