空の神衣
「くそっ、また逃がしたか」

 天を仰いだ蒼馬の視界を、再び影が横切る。

 同時に、鼓膜が破れそうなほどの衝撃に見舞われる。

「うおああぁぁっ!」

「そ~ま!あうぅっ!」

 倒れたままのルイも、思わず耳を押さえる。

「こ…これ…超音波?」

『恐らくな。敵は何らかの方法で超音波を衝撃波に高めることができるのじゃろう』

 苦悶の表情を浮かべる蒼馬に、太刀風は平然と答える。

 武将の姿はカードが産み出す幻影であり、太刀風はそのカードなのだ。

 感覚器官を持たない太刀風は衝撃波の影響を受けない。

『憶測が当たっておったなら、いささかまずい事になる』

「相手が音を操るってことは、こっちの攻撃が届かないんじゃあ…」

 冷や汗だか脂汗だか分からない、嫌な汗をかきながら蒼馬は考えたくない推測を口にする。

『そうなるな。風神鎚も届く前に止められる』
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