空の神衣
「どうする…爆震鎚を直接叩き込めば効くかもしれんけど、まず近づけないし…」

『姿が見えんでは、な』

 どんな敵が、どこにいるのか。

 どこから、何をしてくるのか。

 影しか見えない状況では、作戦の立てようもない。

 ふと振り向くと、ルイは倒れ伏したまま動かない。

 どうやら、衝撃波を浴びて失神したようだ。

(見栄切っちまったもんなあ…ここで逃げるわけにはいかねえよなあ…)

 一人なら、すべての思考を逃げることに向けていただろう。

 しかし、まさかルイを見捨てるわけにはいかない。

 やられっ放しのままでは格好がつかない。

 打開策が見つからないまま攻めあぐねる蒼馬の耳を、再び衝撃が襲う。

「ぐああぁう!」

 意識がとぎれそうになる瞬間、目の前が凍りついた。

 衝撃もない。

「な…なんなんだ?」

 パアァンッ!

 凍った空気は即座に砕ける。

 呆気にとられている蒼馬に、聞き慣れた声が届いた。

「格好悪いわねぇ。あなた弱くなったんじゃないの?蒼馬」
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