空の神衣
「それはともかく、だ」

 津也は再び戦場に目を向ける。

「なぜかは分からんが、パラサイトが発する力の波動が見えるんだよ。今李苑の左前にいる」

 力の波動が見えるのはサバイバーの能力ではなかった。

 では、なぜ津也には見えるのか。

 闇珠に分からないものを、考えてもしかたがないことだ。

 とりあえず、今は気にしないことにしよう。

 二人はそう考えた。

「サバイバーの痕跡が感じられないって、食われてから相当時間が経ってるってこと?」

 闇珠は津也の真似をして、目の上に手をかざしている。

 もちろん闇珠は目で物を見ているわけではないので、その行為には全く意味はない。

「ただの暴走とは、確かに違うのは分かるけど」

 力に支配されたサバイバーは、生命力が枯渇するまで暴走する。

 闇珠が知る限り、その後はツールが契約前の封印状態に戻され、サバイバーは死亡する。

 ということは、痕跡も感じられないほど生命力が失われているということか。

「よく分からんが、元々ああだったような感じなんだよ」

 津也の言葉に、闇珠は更に顔をしかめる。
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