空の神衣
 蒼馬達は勿論、後方のことなど知る由もない。

「オレがみんなを巻き込んだって、どういうことなんだよ」

 天性の鈍感男、蒼馬はルイに尋ねる。

「ほんっとに、分からないの?」

 呆れるのは、これで何度目か。

「そ~まが一人で突っ走るから、みんな振り回されてるのに」

 ルイは蒼馬の額を軽く小突く。

「あてっ。なんだってんだよ。なんでオレのせいなん…」

 それ以上、言えなかった。

 蒼馬の口は、柔らかい感触に塞がれていた。

「え?あ…あの…」

 突然のことに言葉が出ない蒼馬に、ルイは真顔で言う。

「一人で背負い込もうとして、余計周りに迷惑かけてるのが分からない?そんなに、私たち頼りないかな」

 真摯な眼差しを、蒼馬は見返すことができずにいる。

「私はあんたがりんりんを傷つけたこと以上に、一人で何もかも背負い込もうとしてることにムカついてるの」
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