空の神衣

これはしまつがわるい

 最前線の李苑と晶は、周りのやりとりに目を向ける余裕などなかった。

「まったく、面倒な敵に当たったもんだわ」

「ごっつい攻撃してくるとかの方が、まだマシやで」

 二人とも、せわしなく現れては消える敵に対して攻め手を欠いていた。

 衝撃波は届くまえに無効化できるので、さして脅威にはならない。

 だが、溜めも構えもなく撃てるため攻撃に隙がない。

「撃つ瞬間だけでも、止まってくれへんかな」

 ブレードスピナーを滞空させながら、晶は砂地に目を光らせる。

 李苑の凍結能力を利用して一撃はヒットさせたものの、あまり手応えはなかった。



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