空の神衣
「今、突然砂が弾けた…一体何が…」

 普段の李苑なら、自分達以外に誰かいる可能性に気づいただろう。

 しかし、蒼馬達が気掛かりだったせいもあってか、そこまで考えが至らない。






「私達の他に、誰かいるみたい」

 李苑と対照的に、ルイは至極冷静だった。

「離れた所から、この戦況を見てる。津也かアリアスあたりかな」

「じゃあ、今のは援護射撃?狙って当てられるような距離には、人の気配なんかないぞ」

 蒼馬は辺りを見渡してみるが、人影など全くない。

「見える距離にいるわけないって。遠距離射撃の能力とか持ってるんだと思う。助けるつもりだったのかも、怪しい…」

 津也にせよアリアスにせよ、敵対する相手に情けをかけるタイプではない。

「砂に隠れた敵を狙った攻撃が、たまたま手助けする格好になっただけなのかも」

 ルイは人を疑うのが嫌いだ。

 だが、この状況では姿の見えない狙撃手を安易に味方と決めつけるのは危険だ。
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