空の神衣
「かと言って、俺が倒しちまったら、それこそ身も蓋もないしな」

 蒼馬達のやりとりを一部始終見ていた津也は、流石に決着を横取りするのは気がひけた。

 しかしこのままでは、悪くすれば死人が出る事態になりかねない。

 見えない敵の存在を、何とかして蒼馬達に知らせなくては。

『でも、どうやって?サバイバーの目にも見えない相手なのよ。津也は例外だってことを忘れてない?』

 言いながら、闇珠もどうしたものか考えあぐねていた。

 ふと、津也があることに思い至る。

「…あ、蠍は倒してもいいんじゃないか?」

『…あ』

 言われて闇珠も気付いた。

 確かに、蒼馬達が倒すべきは眼前の見えざる敵だ。

 それに、蠍を津也が倒してしまえば、無用の被害も出ない。

『まあ私としては、相手が減ってくれた方がいいんだけど』

 本気とも冗談ともつかない口調で闇珠は言う。
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