空の神衣
「物騒なこと言うな。とにかく、蠍は俺達で片付けよう」

 津也は不機嫌な声で言うと、左手にリボルバーを構える。

「闇珠も、李苑とは戦いたくないって言ってただろ」

 撃鉄を引きながら言うと、闇珠がやや暗い声で答える。

『そんな都合のいい話、あるわけないでしょ』

 それは津也も分かっている。

『津也も自分で言ってたじゃない。クールになれなければ、待っている未来は破滅よ』

 津也はタイミングを計りながら平然と言ってのける。

「リタイヤでもしてくれたら、面倒がなくて助かるんだがな」

 サバイバーは何らかの理由で契約が破棄されると、封鎖領域から現実空間に戻る。

 つまり、戦況が不利になった場合、重傷を負った方が死なずに済むことになる。

 津也は誰かが危険な状態になったら、強制退場させることも選択肢として考えていた。

『…津也、あなたなはもしかしたら、なるべくしてサバイバーになったのかもしれない』
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