空の神衣
 蒼馬とルイは固まっているし、李苑は素早い動きが苦手だ。

 この状況で、津也が一番警戒しているのは実は晶だった。

「あいつ、ちょこまか動き回るからなあ。足留めすべきだったか」

 機動力が身上の晶は、流れ弾にあたる危険性が高い。

『対戦するにしても厄介な相手だし、下手に動き回られるよりいいんじゃない?』

 闇珠の回答は冷静だ。

「まあ、それはそうなんだがな」

 しかし、ここで津也にとって予想外の事態が起きる。

 蒼馬と一緒にいたルイが、一人で歩き出したのだ。

「あいつ、何のつもりなんだ?…!そっちはまずいぞ」

 津也の目は、ルイが向かう先にわだかまる黒い渦を捉えていた。

「ええいっ、こうなったらルイを巻き込んででもシャドウの存在を明かすしかないっ」

 津也は蠍に向けるべき銃口を、見えざる敵に向ける。

 ガキィン

 ガキィン

 ガキィン

 三度、撃鉄が響く。



 ヒュウゥゥ…

 ややあって、蒼馬達の頭上に異音。

「何の音だ?」

 蒼馬は空を見上げる。



「何?」

「何か音せんかった?」

 李苑達も気付く。
< 151 / 264 >

この作品をシェア

pagetop