空の神衣
「私は…何のために…」

 何のためにサバイバーになったのか。

 心に決めたはずの覚悟が、信念が、ことごとく否定された思いだった。

「だから、李苑はサバイバーにふさわしくないんだよ」

 津也の言葉は、厳しいが暖かみを感じさせるものだった。

「一度は戦いを降りようとした時に引き戻したのは、中途半端な幕引きにしたくなかったからだ」

 どの道リタイヤすることは分かっていたが、津也は李苑を納得ずくで退場させたかったのだ。

「元々、李苑は戦いとは無縁だったんだ。歪んだ道が元に戻っただけのことだよ」

 李苑も晶も戦わせたくない。

 だからこそ、津也は非情に徹したのだ。

 津也とて、初めは覚悟も何もあったわけではない。

 シオンの信念に触れ、アルベルトとの戦いを経て心境が変化したのだ。
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