空の神衣
「なし崩しで巻き込まれた戦いだけど、俺は自分のために戦い続けてる。
だけど李苑はそうじゃないだろ」

 津也も、本心は戦いたくなどない。

 元々サバイバーになってまで叶えたい願いなどなかった。

 その点では李苑と同じだ。

 だが、津也は戦いそのものについて疑問と憤りを抱えていた。

「ルシフェルがカードからベルトに変わった時、李苑が新しい願いを持ったかもしれないと思ってな」

 すぐにリタイヤさせなかったのは、そうした理由もあったのだ。

「だけど、李苑も晶も蒼馬を誤解したままだったしな」

 説得しようかとも思ったが、津也は二人を蒼馬と対戦させることを選んだ。

 蒼馬の姿を見て戦いを放棄するなら、それがいいと思った。

 ルイを助けられなかったことが心苦しいが、津也もギリギリの決断をしたのだ。

 自分も決断しなければならない。

李苑はそう思った。
< 177 / 264 >

この作品をシェア

pagetop