空の神衣
やっぱりたまらない
津也は李苑達と別れて家に帰ると、玄関で腰掛けて靴紐をほどく。
普段ならいちいち紐をほどく必要などないのだが、疲労のために足が靴から抜けないのだ。
「…く、このっ」
手にも力が入らず、指先が定まらない。
そうこうしていると、後ろからトントンと足音がする。
「津也、お砂糖どこにある?」
「天袋だよ。取ってやるからちょっと待ちな」
闇珠の声に、津也は振り向かずに答える。
なおも津也が靴紐と格闘していると、闇珠が後ろから覗きこんでくる。
「慌てるからほどけないのよ。紐をしっかり持って」
肩に手を置いて、耳元で囁くように闇珠は津也を諭す。
その息にくすぐったさを感じながら、津也は言われた通りにゆっくりと紐を引く。
ふと、違和感を覚えて尋ねる。
「闇珠、お前ちょっと背丈伸びてないか」
闇珠は珠であって、人の姿は津也のイメージを投影した分身だ。
その分身が成長することなど、有り得ない。はずだ。
しかし、初めて会った時は、闇珠の声はもう少し下から聞こえていた気がする。
「私はツールよ。成長することなんてない。背が伸びたように感じるのなら、津也がそうなるよう望んだから」
津也の肩に手を置いたまま、闇珠は言う。
普段ならいちいち紐をほどく必要などないのだが、疲労のために足が靴から抜けないのだ。
「…く、このっ」
手にも力が入らず、指先が定まらない。
そうこうしていると、後ろからトントンと足音がする。
「津也、お砂糖どこにある?」
「天袋だよ。取ってやるからちょっと待ちな」
闇珠の声に、津也は振り向かずに答える。
なおも津也が靴紐と格闘していると、闇珠が後ろから覗きこんでくる。
「慌てるからほどけないのよ。紐をしっかり持って」
肩に手を置いて、耳元で囁くように闇珠は津也を諭す。
その息にくすぐったさを感じながら、津也は言われた通りにゆっくりと紐を引く。
ふと、違和感を覚えて尋ねる。
「闇珠、お前ちょっと背丈伸びてないか」
闇珠は珠であって、人の姿は津也のイメージを投影した分身だ。
その分身が成長することなど、有り得ない。はずだ。
しかし、初めて会った時は、闇珠の声はもう少し下から聞こえていた気がする。
「私はツールよ。成長することなんてない。背が伸びたように感じるのなら、津也がそうなるよう望んだから」
津也の肩に手を置いたまま、闇珠は言う。