空の神衣
 言われて見ると、確かにアルベルトの手足が妙に長くなって見える。

「なんだぁ?一体何がどうなってんだよ、ありゃあ」

 言い知れぬ威圧感に、津也は眉をひそめる。

『カードの力が、サバイバーの体と精神を侵食しているんだよ』

 影縫の堅い声。

『契約者との同調が強まると、カードの力は具現しやすくなる。ただ契約者の自我が弱まると、あの男のようにカードの力に飲み込まれてしまう』

それを聞いた津也の顔がこわばる。

『ってことは、勢い任せで戦ってたら、俺もお前に飲み込まれてたわけかよ』

『そうだ。このことは、本来サバイバーに教えてはならない』

 影縫の声から、涼しげな軽さが消えていた。

『サバイバーを戦わせ、精神を侵食することで私はより強いカードになれる』

『そんなこと、なんで教えてくれたんだ』

 憤慨して問う津也に、また意外な答えが返ってきた。
< 18 / 264 >

この作品をシェア

pagetop