空の神衣
 うつむいて呟く闇珠。

 これまで、契約者の心理を深く知りたいと思ったことはない。

「どうして、津也のことがこんなに気になるのかな…」

 すると、晶がくすくす笑いながら言う。

「さては、兄ぃにホレたなぁ?」

「え?」

 呆気に取られる闇珠。

 晶はチッ、チッと人差し指を振る。

「冗談や、半分はな。せやけど兄ぃは闇珠にとって、タダの契約者にとどまらん存在になっとるんやな」

「うん…それは分かるんだけど」

 津也が自分にとって特別であることは、闇珠も自覚している。

 闇珠が不思議に思ったのは、なぜ晶がそのことに気付いたのかだった。

「どうして、晶にそんなことが分かるの」

 ストレートに尋ねてみると、晶はまた笑う。

「ウチかて乙女や。恋のひとつくらいしとる。せやから、闇珠の顔見てピンときたんよ」

「ふうん…」

 理解したわけではないが、なんとなく分かったような気がした。
< 187 / 264 >

この作品をシェア

pagetop