空の神衣
「津也、入るよ」

 声をかけて闇珠が中に入ると、津也はベッドの上で仰向けに寝転んでいた。

「まだ、焼けるには早いだろ」

 目も向けずに言う。

 普段の瓢々とした口調ではない。

「ちょっと、聞きたいことがあるの」

 闇珠は一息つくと、ドアを閉める。

「なんだ」

 津也はうるさそうに言葉を吐き出す。

「津也は、戦いが終わったらどうする?」

「…終わったら?」

 気の抜けたような返事が返ってくる。

「どうして、そんな事を聞くんだ」

 面倒臭そうに、津也は闇珠に目線だけ送る。

 明らかに、普段とは様子が違う。

「終わった後の事なんか闇珠には関係ないだろ」

 確かに、闇珠が津也と行動を共にしているのはサバイバルのためだ。

 その後の事など、詮索するのは筋違いだろう。

 だが、闇珠は聞かずにはいられなかった。

「津也、このまま戦い続けていたら、あなたは闇そのものになってしまうわ」

「俺が、闇に?」

 闇珠の唐突な言葉に、津也もさすがに身を起こした。
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