空の神衣
 涙が止めどなく溢れ出る。

 闇珠の悲しみが、津也の心に降り注ぐ。

「あなたが特別だと言ったのは、戦士としてって意味じゃないの。『私にとって』特別なのよ。ねえ津也、あなたにとって私は何なの?』

 心が乱れる。

 闇珠はもう、自分が何を言っているのか分からなくなってきた。

 どうすれば津也の闇を晴らせるのか、分からないのだ。

(このままでは、津也の心に手が届かなくなる…どうすればいいの?)

 そもそも、存在の本質からすれば考える必要のないこと。

 答えなど、出るわけもない。

 何とかして、津也を引き止めたい。

 そう思った時、闇珠はある事に思い至る。

 津也は最後の戦いだと言った。

(最後じゃない!)

 まだ、やる事が残っている。

 闇珠は、そこに望みを託した。

「津也、まだ最後じゃないわ。シオンと戦う約束を反故にする気なの?」

 他人を頼むのは、甚だ不本意であった。

 だが自分ではどうしようもない以上、他に打つ手を思いつかなかったのだ。
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