空の神衣
「感情は、作り出すことはできない」

 今度は、津也が闇珠を抱き締める。

「闇珠が普通の人間だったら、俺と出会うことはなかったかも知れない」

 津也は言葉を選んではいない。

 闇珠に対する純粋な想いが、自然な言葉として語られているのだ。

「それでも、闇珠が普通の人間だったとしても、俺達は出会ったような気がするんだよ」

 闇珠の肩に手を置き、津也は続ける。

「戦いを終わらせるということは、闇珠とも一緒にいられなくなるということでもある。それでも俺は、この戦いを終わらせたいんだ」

「津也…」

「一緒に、戦ってくれるか」

 津也は闇珠の目を覗きこむように言う。

「…願い、願いは決まったの?」

 闇珠ははぐらかすように問い返す。

 答えられなかったからだ。

「私の力を全解放するためには、津也が願いを決めなくてはいけないわ」
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