空の神衣
「くそおっ、一体何がどうなってるんだ!」

 アルベルトのムチを辛うじてさばきながら、津也は必死によびかける。

 しかし、影縫は全く答えない。

「ヒャハハアアァァッ、どうしたどうしたぁ」

 狂気じみた奇声をあげながら、アルベルトは両手のムチを振るう。

 影縫が沈黙して衝撃波を飛ばせない津也は、無秩序に伸縮するムチをかいくぐるのもやっとだ。

「影縫、どうしたんだ!答えろよっ!」

 津也の叫びに、微かな声が返る。

『…消える…私が…消える…』

『消える?消えるって、一体どういうことだ』

 再び沈黙。

「なんなんだよ、一体よおっ」

 叫びながら津也は、心に微かな揺らぎを感じていた。

(何だこの躍動感は?俺の中に力が流れ込んでくるような…)
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