空の神衣
「まったく、手加減ってものを知らんのか」
おどけた口調で言ってみせる。
実際は本当に痛かったのだが、闇珠を気遣ってごまかしたのだ。
「そろそろクッキーが焼けてるだろう。行くか」
頭を撫でながら言う津也に、闇珠は照れ笑いを浮かべて答える。
「だから、さっき私がそう言ったじゃない。着替えるから先に行ってて」
「わかった」
少しふらつきながら部屋から出て行く津也を見送った後、闇珠はじっと手を見る。
掌に、薄く血が滲んでいる。
「この体が、実体化している…」
存在しないはずの血が流れている事実が、闇珠に起きた変異を実感させていた。
「私が完全に人間になったら、能力が使えなくなる…あまりのんびりしてもいられないわね」
焦燥を心の奥に押し込み、闇珠は急いで着替えを済ませると台所へ向かう。
その後二人は、待ち惚けをくわされていた晶に散々冷やかされた。
おどけた口調で言ってみせる。
実際は本当に痛かったのだが、闇珠を気遣ってごまかしたのだ。
「そろそろクッキーが焼けてるだろう。行くか」
頭を撫でながら言う津也に、闇珠は照れ笑いを浮かべて答える。
「だから、さっき私がそう言ったじゃない。着替えるから先に行ってて」
「わかった」
少しふらつきながら部屋から出て行く津也を見送った後、闇珠はじっと手を見る。
掌に、薄く血が滲んでいる。
「この体が、実体化している…」
存在しないはずの血が流れている事実が、闇珠に起きた変異を実感させていた。
「私が完全に人間になったら、能力が使えなくなる…あまりのんびりしてもいられないわね」
焦燥を心の奥に押し込み、闇珠は急いで着替えを済ませると台所へ向かう。
その後二人は、待ち惚けをくわされていた晶に散々冷やかされた。