空の神衣
「もうちょっとだったのにい…」

「ウチの2連勝やな」

 したり顔で晶が言う。

「闇珠もそろそろ寝た方がええんちゃう?」

 テーブルから落ちた棒を拾いながら声をかけると、闇珠は祈るように両手を合わせていた。

「闇珠?」

「あ…うん…。ねえ晶、帰って来たらまた続きやろうよ」

 晶の声で我に返ったように、闇珠は切り出す。

「どうしたん、急に」

 きょとんとして聞き返す晶に、闇珠は重ねて言う。

「必ず帰ってくるから、続き」

「ん…わかった。片付けしとくから、おやすみ」

 深く詮索すべきでないと思い、晶はそれ以上尋ねなかった。

「寝る前にお風呂、だったわね」

 闇珠は寂しげな笑みを浮かべ、ぱたぱたと晶に手を振ってみせる。

「津也の背中、流してあげなきゃ」

 名残を惜しむように晶を見た後、津也を追う。

「闇珠…もう会えへん気がしてんけど…」

 その予感が杞憂であってほしいと、晶は心から思う。

 しかし、悪い予感ほどよく当たることを、晶は知っている。

 現実は、アニメや漫画のように都合よく進んではくれない。
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