空の神衣
『正々堂々、って言えたらかっこいいんだろうけどな』

『生き死にがかかってる戦いに、恥も外聞もないでしょ』

 そんな会話は、言うまでもなくシオンには聞こえていない。

 戦いの中で津也と秘密を共有している。

 闇珠はともすれば、そんな思いにとらわれる。

『津也』

『ん?』

 これだけは言っておかなければ。

 闇珠はそれを津也に告げる。

『シオンに勝ったら、すぐに最後の戦いになると思うわ。願いを何にするか、考えておいて』

『ああ、そうだったな。いくつか候補はあるんだが、まだ絞れてないんだよな』

 忘れていたわけではないのだが、シオンとの戦いは高い集中力が要求される。

 願いを何にするかは、ひとまず後回しにするしかない。

『今は、シオンを倒すことに集中しよう。まだ答えは出せない』

 その間にも、津也は断続的に引金を引いて布石を打っていた。

 ディフレクターに撃ち込んだ力弾は、津也の意思で再発射できる。

 しかし、例え背後から仕掛けたとしても、ただ撃つだけではシオンも当たってはくれない。
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