空の神衣
 しかしシオンもまた、津也の体術に舌を巻いていた。

(平民の彼が、騎士の訓練を受けた私を引き離している…)

 踏み込んでいなかったのではない。

 津也の動きを捉えきれず、踏み込みが届かないのだ。

 追随しようにも、要所要所で射撃に阻まれる。

 津也も体を鍛えてはいるが、それはアスリートとしてだ。

 実線を前提に鍛えてきたシオンには、及ばないはずた。

 にも関わらず、津也の戦闘力はシオンと遜色ない。

 影縫が同化しているとはいえ、いかに津也の素養が高いか示している。

(残しておきたかった奥の手…出し惜しみしてはいられませんわね…)

 シオンは勝負どころで出すつもりだった切札を使うことにした。
< 209 / 264 >

この作品をシェア

pagetop