空の神衣

『仕方ない、時間差で鋼雨陣を使うか』

　ディフレクターに蓄積した力弾を頭上から降らせる鋼雨陣は、元は敵を足止めするために考えた技だ。

『初弾を撃ってすぐに再チャージすれば、30秒くらいは稼げるだろう』

『そういう手で行くわけね。分かった。でも言っておくけど津也、ちゃんと当ててよね？』

　不安そうに言う闇珠。

　確かに、津也の策が成功すれば時間は十分稼げるだろう。

　しかし、最初の殲咬弾が当たらなければ、シオンの機動力なら鋼雨陣の掃射圏外に出ることは不可能ではない。

　そうなれば、再装弾している間に反撃を受けることになる。

　津也を信頼してはいるが、闇珠は万一の事態が起きないかと気が気でない。

『当ててやるさ。俺の言うことが信じられないのか』

　津也はさらりと言ってのける。

　何でもないことのようなその言葉には、しかし揺るぎない自信がうかがえた。

　津也にそこまで言われては、闇珠も返す言葉がない。

『…絶対、当ててよ？』

『任せろ』