空の神衣
 その瞬間、津也の眼はシオンの姿を克明に捉えた。

 燃え盛るようなサークレットから、凄まじいまでの闘気を感じる。

『生命力が暴走してる。あれでは、シオンはどの道助からないわ』

 闇珠には、シオンの体から噴き出す炎が生命力そのものだと分かった。

『次の攻撃に、全ての力をぶつけて来るか』

『それも、尋常な威力ではないわ』

 二人の意識が、動きを止めたシオンに引き寄せられる。

 一瞬でも反応が遅れれば、魂まで断ち切られるだろう。

『一発分は用意できてるけど、外したら仕掛を使う暇はないわ』

 焦る闇珠に対し、津也はやはり平然と答える。

『当てるだけなら、問題ないさ。それより気掛かりなのは、シオンの攻撃を相殺できるかどうか、なんだが』

 その津也の言葉に、闇珠は底知れぬ冷たさを感じた。

 それまでの熱い気迫が失せたわけではないが、同時に冷徹なもうひとつの顔が現れたのを実感させられる。
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