空の神衣
 身動きできないままシオンが力弾を浴びている間に、津也の追撃体勢は整っていた。

『装弾完了。後は津也が当てるだけよ』

『分かってる。ここで確実に決める』

 闇の礫が降り注ぐ中、うずくまるシオンに向けて津也はリボルバーを構える。

 正確には、シオンの炎が収束する中心に。

 カキィン

 カキィン

 カキィン

 撃鉄を親指で押さえたまま、立て続けに引き金を引く。

 撃ち出された力弾はそのままとどまり、次々に重なっていく。


「行けえっ!」

 必殺の念を込めて引き金を引く。


 ようやく礫の雨がおさまり、顔を上げたシオンの眼前に闇の塊が迫る。

 燃え残りの炎を掻き集め、殲咬弾をイーフリートで迎え撃つ。

 凄まじい重圧が、シオンを襲う。

「く…ううぅっ…」

 必死に殲咬弾を押し返そうとするが、気力の充実した津也に万策尽きたシオンが敵うものではない。
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