空の神衣
「私は神の祝福を受けた王なのだ。この神衣が、その証ということだ」

 聞かせるでもなく、王は続ける。

「その私の依り代になるために、お前は生まれてきたのだ。課せられた役目を果たすがいい」

「長生きしすぎると、どうやら知恵が回らなくなるようだな」

 津也は振り向き、オートマチックを男に突きつける。

「あんたは、ただ選ばれただけだ。特別な存在だからじゃなく、選ぶに足る資格があった。それだけのことだ」

「入れ物風情が、偉そうにほざきおって」

 男は苛立った様子で津也を睨む。

「冥土の土産に聞かせてやろう。私の名はアガートラームだ」

 アガートラームが剣を構えると、刀身が雷光を纏う。

「雷は神のみが呼べるものだ。その雷を操れる私は、神に並ぶ存在になったと言えよう」

 シオンもルイも、こんなふざけた奴に振り回されたのか。

 そう思うと、津也は激しい怒りにかられる。

『津也』

 不意に、闇珠が呼び掛ける。

『最後の戦いを始める前に、願いを聞かせて』
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