空の神衣
 そんなやりとりなど構うゆとりもない津也は、沈黙したままの影縫に必死に呼び掛けていた。

『影縫、どうしたんだ!答えてくれよ!』

 しかしやはり、答える声はない。

 それでも影縫を呼びながらムチをかわす。

(なんか、えらくアルベルトの動きが鈍くなってるような…)

 思い違いであった。

 傍で見ているシオンの驚いたような表情が物語る。

(俺が速くなってる?)
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