空の神衣
『津也、序盤であまり無理をしないで。シオンと戦った時のダメージもまだ残ってるのよ』

 闇珠は冷静に戦況を分析しようと努める。

『アガートラームが本気を出しているとは思えないわ。今限界まで加速していたら、戦うどころではなくなる』

 実際には、津也には大してアドバンテージはない。

 アガートラームが本気を出していないなら、更なる加速を視認することはできても対応が間に合わなくなる。

 津也は卓越した洞察力により後の先を取ることができるが、それも限界がある。

 しかし、アガートラームを相手に余力を残した戦いなどできない。

『あいつが出し惜しみなんて許してくれると思うか。どの道長期戦になったら勝ち目は薄いんだ、やれることをやるだけのことさ』

 互いに遠距離攻撃の能力があるため、間合いを取ってもあまり意味はない。

 白兵戦なら、むしろ不利なのは津也の方だ。

(闇珠の力が、感じられなくなってきた。これは本格的に厳しいな)

 闇珠の力が失われてしまえば、津也は身体能力で戦うしかなくなる。

 まず、勝ち目はないだろう。
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