空の神衣
「どこを見ている。戦いの最中に考え事とは、大した余裕だな」

 アガートラームは不気味な笑みを浮かべ、剣を大きく引く。

「見せてやろう。本当の地獄をな」

 差し上げた剣が、青白い雷光をまとう。

「私を前にしてよそ見などと、侮辱にも程があるというものだ」

 一閃すると、アガートラームの前に一瞬わだかまった雷光が蛇のようにのたうち、津也を襲う。

「む…うっ」

 寸手のところで、かろうじてかわす。

 十分間に合うはずだった。

(かすった…反応が鈍くなってるのか?)

「私の怒りは神の怒り。かわすことなど、かなうものではない」

 その目に殺意をみなぎらせ、笑みを浮かべたままアガートラームは言った。

 しかし、津也にはかわせなかった理由が分かっていた。

 津也の意識に、闇珠がついてこられなくなってきたのだ。

 そのために闇珠は解放したはずの力を発揮できず、津也に甚大な負荷をかけていた。

 これでは同調している意味がない。
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