空の神衣
『カードと同じように私を取り込めば、津也はサバイバー本来の力を発揮できるわ。急いで、時間がない』

 闇珠は急かそうとするが、津也はその提案を拒んだ。

『それはできない。闇珠が消えてしまったら、例え勝ったところで意味がない』

『そんなこと、今言ってる場合じゃないでしょ』

 津也の言葉に、闇珠は思わず呆れた。

『ここでアガートラームに負けたら、それこそ意味なんかないのよ』

 諭すように続けるが、津也は頑として譲ろうとしない。

『だめだよ。闇珠が消えるなんて、そんな策は認められない。それだけは絶対に』

 今までなら、闇珠は引き下がっただろう。

 しかし、最後の戦いである。

 幾多の苦痛を味わってきたことが、ここで負けてしまえば無駄になるのだ。

『私一人のために、シオン達の思いを無下にするつもりなの?そんなことで生き残っても、私だって嬉しくない』

 実は、津也には一つ思いついた策があったのだが、それを闇珠に告げることはできずにいた。

『…分かったよ。だけど一人の力では勝てないだろう。だから…』

 そう言うと、津也はポケットから黒いカードを取り出す。

「どうやら、ここが使い時らしい」

 小さく呟くと、カードを胸に当てる。

『闇珠の力、もらうよ』

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