空の神衣
「闇珠は人間になったんだよ。普通の人間に」

 黒い珠を握り締めて、津也は寂しげな目で闇珠を見る。

 その視線の先で、次第に闇珠の姿が霞んで薄れていく。

「こ…これは…空間が私を拒絶している?」

 封鎖空間にいられるのは、契約を交したサバイバーとパートナーに限られる。

 人間になった闇珠は、既に津也のパートナーではない。

 無論、サバイバーでもない。

 そのために、空間に存在していられなくなったのだ。

「津也、冗談はやめて。あなた一人で、どうやってアガートラームに勝つつもりなの」

「一人だけど、一人じゃないんだ。言っただろ、力をもらうって」

 津也の手の中で、黒い珠がヘッドギアに姿を変える。

「それは…まさか?」

 ガシィン

 目を見張る闇珠の前で津也はヘッドギアを装着する。
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