空の神衣
 その刹那、微かにだが確かに影縫の声が聞こえた。

『私が…君の中に…溶ける…』

『溶ける?溶けるってどういうことだ』

反射的に問う津也に、今度ははっきりと答える。

『私の…存在が…消えるということ…心配することはない…力は…残るから…』

 声と共に、何かが意識の中に流れ込んでくる。

【力を求める者よ…我が器となれ…】

 影縫ではない、何者かの思念。

 引きずられるような、飲み込まれるような感覚が津也を襲う。

(これは…影縫が言ってた、カードに取り込まれるってこのことか!)
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