空の神衣
「うおおぉぉっ」

 無数の礫に打ちすえられ、アガートラームはもんどり打って倒れる。

 蒼天の鎧は至る所を撃ち抜かれ、無惨に皹だらけだ。

「これほど…我が子孫がこれほど強くなっていたか。退屈しのぎの相手には役不足が過ぎる」

 剣を支えに立ち上がるが、僅かの間に著しく消耗している。

「一人じゃないって言っただろ。俺は二人分の力を上乗せして戦ってるんだよ」

 津也も息が荒くなっている。

 優位に立っているように見えて、津也とて連戦の疲労が溜っている。

「もう少し…もう少しの間もってくれよ…」

 津也の呟きには気づかず、アガートラームは剣を鞘に収める。

「三人がかりか。それは確かに分が悪いな」

「ずるい、とでも言うかい」

 あくまで狙いは外さないままの津也に、

「頭に乗るでないわ」

 アガートラームはにやりと笑う。
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