空の神衣
「私は王だ。最後の勝者を決める戦いで、泣き言など言っては名の汚れというものだ」

 言うと、全身に力を込める。

「他人の力など頼ってなるか。王の真髄、とくと見よ!」

 人声叫ぶと、皹だらけの鎧が弾け飛ぶ。

「私は最後まで、自分の力だけで戦ってやろう。手加減は無用だ」

 剣を構える腕には、おびただしい傷。

 腕だけではない。胸にも背中にも、数限りない傷がある。

「私はやすやすと、王座を守ってきたわけではないぞ。貴様ほどではなくとも、手強い相手はいたのだよ」

 その構えからは、より凄味を増した闘気が溢れている。

「さすが王様だな。すげえ迫力だ」

 気押されたか、津也は一瞬照星を外してしまった。

 だが、背後から優しい気配を感じる。

『恐れることはないよ』

『私達がついてるわ』

(影縫…闇珠…そうだったな。俺は一人で戦ってるんじゃないんだ)

 津也は深く息をつき、アガートラームに照星を合わせる。
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