空の神衣
「次で決める。残った力全部使いきってやる」

 標的を見据え、津也は静かに呟く。

 その顔が、かつてアルベルトと対戦した時のように黒く変わっていく。

(こいつは…本気でやばいかな…)

 浸食を受けている感覚はないが、異変が起きているのは間違いない。

 猶予はあまりなさそうだ。

 共に立つ二人が、支えると同時に変異を僅かながら食い止めてくれているが、長くはもたないだろう。

 後のことは考えない。

 極限まで高めた力を、必殺の一撃に込める。

 ガシィ

 引き鉄を引き、撃鉄を起こす。

「この」

『一撃で』

『決める』

 三人の声が、ひとつに重なる。

 津也の目には、アガートラームの内に燃え盛る命の炎が鮮明に見えた。
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