空の神衣
 影縫の軽やかな思念とは全く異質な、禍禍しい波動。

 怨念、とでも言うべきか。

【失われし肉体…新たなる器…】

 重苦しい声。

『…!お前かっ、お前がこの戦いの仕掛人かっ』

 津也の意識が叫ぶ。

『なぜだ!何のために、こんな馬鹿馬鹿しい戦いをさせる!』

 暗い声が答える。

【誤りし時を正すため…我は選ばれし存在…死などありえぬ…新たなる器に宿り…正しき時を…紡ぐ…】

 その言葉に、津也は愕然とした。

『…じゃあ…お前は、自分が宿る躯を手に入れるために、殺し合いをさせてるっていうのか!』

 激しい怒りが沸き上がる。

「…ふっ…ざける、なああぁぁ!」

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