空の神衣
 迫り来る雷光を、津也はスローモーションのように見ていた。

 全身に纏った渦を送り込んだ両手の銃が、一丁のライフルに変わる。

 同時に、津也の体が靄のように薄れ始める。

 ライフルに限界を超えて力を送り込んでいるために、存在を維持することすら困難になっているのだ。

「これで…最後だ」

 消えそうになる腕でライフルを支えて照準を合わせる。

 狙いは雷光の先。

 アガートラームの内に燃え盛る、魂の炎。

「行けえっ!殲咬弾!」

 叫びとともに、渾身の力で引き金を引く。

 波動とも言えるほどの渦を引き、最後の弾が虚空を駆ける。

(勝っても負けても、もう力は残ってない)

 津也は込められる限りの力を最後の一発にに込めたために、体さえ消えかけている。

 もはや、言葉を発することもかなわない。

(戦いを…見届ける…できそうもないな)
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