空の神衣
 霞む視界の中、津也は辛うじて黒い力弾が雷光を貫く様を見た。

「う…おお…っ」

 アガートラームは悔しげな表情で、対極から同じ光景を見ていた。

 命を削って放った雷光は確かに津也を捉えた。

 しかし、同時に現れた黒い力弾にかわす暇もなく鳩尾を撃ち抜かれた。

「ぐっ…ぅあっ」

 魂を引き裂かれる激痛に、さしもの王もうめき声しか出ない。

 その胸板には、大きな風穴が空いている。

 殲咬弾がアガートラームの魂を撃ち抜いた、そのダメージが具現化したのだ。

 ガキィン

 剣を足元に突き立て、アガートラームは何とか倒れることを免れた。

「か…はっ…」

 ようやく吐き出す息には、僅かに血が混ざっている。

 ふと見やると、雷光に包まれた津也の姿が消えようとしていた。

「い…いかん…あのままでは魂まで消滅してしまう…」

 思わず、津也に手を伸ばしていた。

「戦いの勝者を、死なせるわけにはいかん…」
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