空の神衣
「勝者よ、私からの褒美だ。受けとるがよい」

 ぼそりと呟く。

 剣が一際強く輝き、アガートラームの姿が光の中に消える。

 同時に、津也の体から色濃い影が伸びる。

「格好つけすぎだぜ、王様よ」

 器を取り戻した津也は声を漏らす。

『私は王であるぞ。下の者に施しを行うのは当然であろう』

 突き立ったままの剣から、アガートラームの声がする。

「あんた、これからどうするんだ」

 津也の問いに、アガートラームは少しの間沈黙する。

『…私にも、分からぬ。この魂がどうなるか、それこそ神のみぞ知るだ』

 ややあって、津也の背後に道が開く。

『行くがよい』

 促す王の声には、威厳が感じられた。
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