空の神衣
「魂を、半分?」

 突然の言葉に、津也は何のことか分からない。

『私の剣で、貴様の魂を二つに分ける。その一方を監視役として残して行けばよい』

「そんなことまで、できるのかよ」

 もう、何でもありだ。

 しかし、願ってもない申し出である。

「なら、そうしようか」

 津也は力を抜き、王の前に立つ。

「手元が狂った、なんてのはなしにしてくれよ」

 津也の言葉に、アガートラームは真面目な顔で答える。

『動くなよ。本当に手元が狂う』

 息を飲む津也に、言い忘れたことを伝える。

『魂を分けるということは、命数も分けるということだ。貴様の寿命は、大幅に減じることになるのだ』

「それくらい、仕方ないだろう。一息にやってくれよ」

『うむ』

 深く頷くと、アガートラームは剣を一閃する。

「うおおぉっ…」

 魂を斬りつけられる衝撃に、津也は大きく退け反る。
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