空の神衣
『そうだよ。僕は今までずっと、兄さんと一緒にいたんだ』

「ということは、混ざっていた魂が分かれたってことか」

『そのようだな』

 思いもかけず、果たされた出会い。

 しかし、すぐに別れなくてはならない。

 津也は踵を返し、手を振って歩き出す。

「いつか地獄で会うことがあったら、その時はよろしくな」

『ああ。小さな恋人に、よろしく』

 徹也も手を振る。

 一度だけ振り返り、津也は花道を引き上げる。

『これで、僕の願いはかないました。ありがとうございます、王様』

『これから途方もない時間、貴様は私を監視しなくてはならん。これくらいの褒美はあってもよかろう』

 二人は顔を見合わせて笑う。

 やがて、道は閉ざされる。
< 262 / 264 >

この作品をシェア

pagetop