空の神衣
 全身を蝕む毒のため、意識が途切れそうになるのを必死に堪える。

 すると、アルベルトの左脇腹あたりに力が流れ込んでいくのを感じる。

(あそこか!)

 津也は脇腹の収束点に狙いを定め、蹴りを放った。

「てええぇいいぃっ!」

 アルベルト目がけて黒い風がほとばしり、収束点に雪崩れこむ。

 びくん。

 アルベルトの体が大きく震え、動きが止まる。

(今だ!)

 津也は力を振り絞り、低い体勢でステップインする。

「いっ…けええぇっ!」

 アルベルトに組みつくと、膝蹴りを叩き込む。

「グアアァァァッ!」

 獣じみた叫びと共に、アルベルトは崩折れる。

「はあ…はあ…はあ…」

 肩で息をしながら、津也はアルベルトを見据える。
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