空の神衣
 シオンは、津也の胸ポケットを指して言う。

「サバイバーとは大いなる意思に選ばれた戦士のこと。そのカードが選ばれた証ですわ」

 言われて津也は、胸ポケットを探る。

 すると、空のはずのポケットから黒いカードが出てきた。

「なんだぁ?こんなもん知らねえぞ。これ、どうやって使えばいいんだ」

 そんなことも知らないのか。シオンは腹をたてるのもばからしくなっていた。

「ひょっとして、あなたまだ契約が済んでいないんじゃありませんの?」

「契約?契約って、誰とだよ」

 やはり、この男は何も知らない。今闘えばカードを奪うのは簡単だが、それは貴族の誇りに反する行為だ。

「カードを額にかざしてごらんなさい。声が聞こえてくるはずですわ」

 シオンは津也が自分と対等になるように、サバイバルについて教えることにした。

 言われるままに津也がカードを額にかざしてみると、確かに声が聞こえる。

『やあ、ようやく呼んでくれたね』








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