空の神衣
「え、うわ、もっとゆっくり歩いてよ」

「しっかり頭につかまってろよ」

 わいわい言いながら、二人は家路につく。

「しかし…」

 津也はつぶやく。

「なに?」

 闇珠が上から津也の顔をのぞきこむ。

「どうしたの?」

 黙りこむ津也の頭を、ゆさゆさと揺する。

「ん…あ、いや」

 少し考えて、津也は答える。

「シオン、あんな派手なドレスでどこに行くのかと思ってな」

 嘘だ。

 津也は違うことを考えていた。

 闇珠にはすぐに分かったが、それを追求する気にはならなかった。

「時代を越えて来たサバイバーは、普通の人には認識できないの」

 話を合わせておこう。

 シオンが言った野保とは、こういうことなのだろう。
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