空の神衣
 意を決して、津也はシオンに向き直る。

「どうやら、闘う覚悟が決まったようですわね」

「命のやりとりをするつもりはないよ」

 シオンの言葉に首を横に振り、左半身に構える。

「命賭けるっていうんなら、俺が勝ったら従者にでもなってもらおうか」

 応じるように、シオンもイーフリートの切っ先を引いて低く構えをとる。

 直後、イーフリートの刀身が炎を纏う。

「へえ、やっぱり燃えるんだな、その剣」

 半身のまま、津也は呟く。

 両手を無造作にズボンのポケットに突っ込み、目線だけでシオンを捉える。

「手加減は、なしですわよ」

 言うが早いか、シオンは腰の高さに構えたイーフリートを真横に一閃する。

 グオォンッ

 刀身から炎が溢れ出し、熱波となって虚空を走る。

『影縫、あの熱波に風をぶつけて相殺できるか』

 津也の問掛けに、幼い声が答える。

『初めに言ったよ。私の能力は君が思い描いた通りになると。君が出来ると思えばできるよ』
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