空の神衣
 晶は裏拳でアルゴスの胸板をトントン叩く。

「人が散々な目におうとる時に登場するんが、お助けキャラやないんか」

 これにはアルゴスも、困った顔になる。

「僕が目覚めた時、晶は倒れていた。多分散々な目にあった後だ」

「そうなん?」

「そうだよ。そもそも、僕が晶を選んだわけじゃない。送られて来た空間に晶がいたんだ」

 アルゴスは首から下げた珠を見せる。

「僕は戦いを統括する主催者に作られた。どうやら、争い事が好きな人みたいだね」

 おどけたように笑うアルゴスを、晶は直視できなかった。

「あ…ところで、ここ一体どこやろ」

 封鎖領域が解除されると、全く知らない所に出たのだ。

「ちょっと待って。僕達はサバイバー同士を引き合わせるために、検索能力を持ってるんだ」

「へ~便利。GPSみたいやね」

 アルゴスはしばらく目を閉じて意識を集中し、やがて目を開く。

「どうやらここは、ルーブル美術館という所のようだね」

「ルーブルって、なんで東京におったんがフランスまで飛ばされるん?」
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