空の神衣
「私はミシェル・シャルマン。大願成就のため、君には散ってもらう」

 ミシェルと名乗った老紳士が右手を頭上にかざすと、小指にはめた指輪から光が飛び出し長剣になる。

「我が剣エトワールの軌跡は、見切ることなどできないよ」

 言って剣を振るうと、光の筋が走る。

(ほんまや、さっぱり太刀筋が見えへん)

「なるほど、ほんまに星みたいやな。せやけど」

 晶は両手にヨーヨーを顔の前で構え、ミシェルを睨む。

「ケンカはなあ、ウデだけでやるもんやないで」

『アルゴス、ブレードスピナーで行こか』

『閉鎖空間なら、有効だね。それで行こう』

 作戦会議は一瞬で完了する。

「せいっ」

 勢いよく腕を振ると、飛び出したヨーヨーが丸ノコに変わりミシェルに迫る。

 ギャイイィィィン!

 甲高い金属音。

 命中はしていない。

 唸りをあげる巨大な丸ノコを、ミシェルがエトワールで弾いたのだ。
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