空の神衣
「そんな玩具で私と戦おうなど、君は力量を計ることもできないのか」

 涼しい顔で言うミシェルに、軌道を変えた丸ノコが再び迫る。

「むうっ」

 何度弾いても、丸ノコは壁や床でバウンドしてミシェルを狙う。

 攻めるには至らないものの、交互に襲う二刃を顔色ひとつ変えずにさばくミシェルの力量は晶を驚嘆させた。

(きっついなあ、仕掛けるスキがあらへん)

 一方でミシェルも、孫ほど歳の離れた晶を一蹴できなかったことに愕然としていた。

(こけおどしかと思ったがこの武器、非力さを補うだけのものではない)

 高速回転する刃が進路を塞ぎ、使い手の晶に直接攻撃を仕掛けることができない。

 対して晶は、間合いを計りながら有利な位置を取れるのだ。
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